「極彩色肉筆絵巻 座敷牢」 Zashikiro
●あらすじ
少年・左吉は、単眼症に生まれたため、連日 激しい差別や暴力に遭い苦しんでいた。
母子家庭の左吉は、母親の呪縛と精神支配、狂信的な愛情の元で育てられていた。
ある日 左吉は、巨大屋敷の半地下の牢屋に幽閉された女性 玲子の存在を知る。
玲子もまた母子家庭で、稀少難治性疾患や、母親や男性達の暴力や虐待で受けた心理的外傷で苦しんでいた。
玲子を幽閉していたのは、霧生の権力者・森田龍之介であった。
左吉は玲子の惨状をみかねて、小柄な身体を利用して牢の鍵を盗み出し、玲子を座敷牢から脱出させることに成功した。
それを知った森田は日本刀を片手に二人を追いかけてきた。 必死で逃げる玲子と左吉は、謎の地下迷路の中に入り込んでいた。
左吉と玲子は、数々の逆境に負けず、互いに手を取り合い、蝋燭の灯りと千字文の拓本だけを頼りに 暗号を解読、迷路の夜行に挑んだ。
しかし数々の仕掛けを張り巡らせた巨大地下迷路の奥には、世にも恐ろしい地獄が待ち受けていた。
(1992年に書かれた脚本「座敷牢」より)
●解 説
この物語は、謎と怪奇に満ちた巨大からくり・地下錯視迷宮を題材に、複数の実話と作者自身の体験をもとに描かれたものである。
舞台となるのは、一見、美しい自然に満ち、優しい人々が住むかのように見える地域だが、裏ではひたすら弱者だけを威圧・中傷・差別する日本の古い風土が存在していた。
この上ない残酷と絶望の映像を観たのち、現実社会ではそのようなことを起こしてはならないと思っていただければ幸いである。
主人公の二人は連日過酷な暴力や差別に遇いながらも最後まで生きようとした。
この先、皆さんが、様々な問題や壁に突き当たって苦悩する時、この二人の主人公の事をぜひ思い出してほしい。
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