Vimeoに投稿した「地下幻燈劇画少女椿」資料動画の太鼓音に対する著作権侵害申告について
今回議論の対象になった動画「One of MIDORI's sub-screens has been discovered for the first time in 30 years. 地下幻燈劇画少女椿のサブスクリーンの一つ30年ぶりに発見」https://vimeo.com/758038999 (2022年10月8日アップロード)
私達は、2025年4月15日、Vimeoを通じて音楽著作権侵害の連絡を受けました。
私達は、33年前の録音や音楽の経緯を説明するために、当時の日本音楽著作権協会の関係書類を10枚 Vimeoに提出しました。
4月16日、Vimeoは、「著作権侵害を訴えた人は、最初の5秒ほどの太鼓の音を抗議の対象にしている」と私達に連絡しました。
「地下幻燈劇画少女椿」冒頭の太鼓の音は J・A・シーザー氏の音楽ではなく、音響効果担当の浅沼幸一氏(おそらく故人)が所有していた音源です。
浅沼氏は戦後のラジオドラマや、のちに独立プロ作品の音響効果などを担当されていました。
「地下幻燈劇画少女椿」の効果音の大部分は録音スタジオなどで、ラジオドラマの手法等により録音されました。
「地下幻燈劇画少女椿」の録音が行なわれた34年前、浅沼氏は「私のストックにない音源がいくつかあるので、それは他の所から調達したい」と絵津監督に報告していました。
例えば、その一つは「こうもりの鳴き声」で、これは浅沼氏が日本音響研究所に頼み、同研究所の協力で音源を使用した事がわかっています。
もしかしたら太鼓(歌舞伎の下座音楽)は当時のフリー効果音ライブラリーなどのレコード等の借用だった可能性もゼロではありません。
私達はまず、Vimeoや、著作権侵害を訴えている人に、今後も当時の経緯の説明を続けます。これは私達が先方の申し出を拒否し先方が訴訟を行なった場合の記録とするものです。
それには長い時間がかかるかもしれません。私達の異議申し立て中に、動画が削除されては困るので、Vimeoと話し合い、私達は、当面、冒頭の5秒ほどの太鼓音をカットしたバージョンに差し替えました。
しかし、もし今回の先方の申し立て人の主張が認められた場合、今後動画サイトにアップロードされたすべての「地下幻燈劇画少女椿」に対し同様な申し立てが行なわれる可能性もあります。
私達が 2023年にフェイスブックで配信した「限りなき楽園」(1981)も、フェイスブックから「既成のクラシック音楽を使用している」と多数の抗議の報告がありました。一部の国ではその音楽がミュートになっているそうです。
その時、フェイスブックは、フェイスブックの動画削除要請に私達が応じないので、アカウント凍結の可能性を私達に伝えました。
しかしその後、2つばかりの異議申し立て人が申し立てを却下するなどして、きゆばるのフェイスブックアカウントは現在まだ無事です。
著作権を守る事は大事です。しかし、33年前の作品の数秒間の効果音や、40年前のクラシックレコードのアナログ録音による使用に対し、削除を要請することが、優先順位として果たして大切なことでしょうか。
その時作られたフィルムとアナログ録音による自主制作映画は、いずれも、今のようなインターネットやデジタルの時代を想定できませんでした。その歴史の記録をすべて覆い隠す事がよい事だとは思いません。
まずは当事者同士の話し合いによる解決が必要だと思います。
私達は 30年以上前の当時の経緯を説明する用意があります。
今後「地下幻燈劇画 少女椿」に対する著作権侵害の申し立ては、大企業を通さず、霧生館の代理人である私達きゆばるに直接連絡することを望みます。
ただしその場合、そのやりとりはすべてオープンに公開しますので、ご了承ください。
一部の少数の人だけが密室の中で話を進めるのではなく、情報を社会にオープンにしながら議論しましょう。
なお、今まで、私達の様々な異議申し立てに対し、ユーチューブは同じ文書を繰り返し送信するだけ、またフェイスブックは私達の異議申し立てを無視してきました。
しかしVimeoは、一回一回、丁寧な返事を私達に返しています。その点だけは私たちは評価したいと思います。
2025年4月16日 きゆばる・霧生館
(このページのURLは、2025年4月16日、Vimeoに伝えました。)